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【キャラクリで】『CODE VEIN(コードヴェイン)』【人造人間18号つくってみた】
発売から数日経った『CODE VEIN(コードヴェイン)』。実際にプレイしてみた感想や所見を批評もまじえて整理してみた。結論から言うと、ゲームとしては70点~75点くらいの出来で、「買って損はない」水準である。「そこそこハマれそうなアクションRPGがやりたい」という人には購入を検討する価値はあると思う。以下では、本作『CODE VEIN(コードヴェイン)』の良い点と悪い点を書き出していく。よければ参考にしてほしい。
CODE VEIN(コードヴェイン)のいいところ
1.キャラクリが楽しい
アニメチックなグラフィックとデフォで用意されている「顔プリセット」システムが功を奏しているのか、クリエイトしたキャラクターの「顔面クオリティ」がムービー中でも崩れない。お気に入りのキャラクターが「ムービー映え」するのは嬉しいところである。
2.パートナーが結構頼りになる
プレイヤーと行動を共にするNPCキャラクター。発売前のデモ画面では「NPCいると攻略ヌルゲーになるんじゃない?」と懸念していたが、いざ実際にプレイしてみると案外頼りになることがわかる。AIもけっしてバカではなく、ちゃんと活躍してくれる。戦闘や難易度のバランスがやや大味なところもあり、むしろNPCパートナーがいないとキツイ場面が多い。もちろんパートナーアリ/ナシを自分で選択して難易度を調整可能。
3.育成システムがユニーク
本作は単純にレベル上げをしてキャラクターを強くするのではなく、それぞれステータスの設定された個性的な「型」をセッティングして運用するシステムになっている。ソウルシリーズ流に言うならば、「技量」に特化したキャラクターで遊ぶなら、技量に秀でた「型」をセットして技量補整の高い武器を装備すればいい。「上質」キャラクターならば、「筋力」と「技量」補整がA-Aの「型」をセットすればいいわけだ。
このシステムのいいところは、「ステ振り」の概念がないということ。ソウルシリーズとは違い、レベル上げの際にステータスを振り分ける必要はない。本作のレベル上げは、基礎ステータスが自動的に上がっていくだけで、武器補整に関するステータスにはほとんど影響しない。ステータスは、あくまでもあらかじめ用意された様々な「型」を選択することで調整する。
つまり本作は、ソウルシリーズのように、「技量に特化させて育てたキャラクターは、そのセーブデータ内ではずっと技量特化型として運用しなければならない」という”融通の利かなさ”に困ることがないのだ。同じセーブデータ内で、「技量型」「上質型」「脳筋型」「遠距離型」などのバリエーションを気分で楽しめてしまうわけである。このシステムは、ソウルシリーズの抱えていた”弱点”をある意味では克服していると言える。ソウルシリーズでは、攻略中に拾った武器に一目ぼれをしたはいいものの、「ゲゲ、これ技量武器か。今は脳筋キャラ育ててるから別データで技量型つくらないとな」というのが定番シチュエーション。『CODE VEIN(コードヴェイン)』は、こうした”ソウルシリーズあるある”を明らかに意識しており、「もっと柔軟性のあるキャラ育成を楽しんでほしい。使いたい武器に合わせてステータスを変更できたほうがいいのではないか?」という開発側の工夫をうかがい知ることができる。
4.攻略&ボスが簡単でサクサク進める
良くも悪くも、本作はアクションゲームとしては比較的「ライト」な難易度になっている。頼りになるNPCパートナーと、強力な補助魔法(バフ)が難易度の軽減に貢献している。ボスもそこまで強くはないので、「こんなの倒せるのかよ!?」というソウルシリーズのような”洗礼”を特に感じなかった。いやらしいステータス異常攻撃に晒され、対策の手段なくボコられる「初見殺し」はあったものの、ソウルシリーズでよく訓練された猛者ならば、たいていのボスは初見で倒せるレベルだ。
逆に言えば、アクションが苦手な人でも「次は勝てそうだ」と思える程度の難易度になっている。全体的に、玄人からライトユーザーまで、幅広く楽しめる仕様となっている。
5.そこそこやり込み甲斐がある
「やりたいことがたくさんある」状況は、プレイヤーをゲームに対して積極的にさせる。ただただ一本道な攻略を強いるのではなく、その道中で装備を強化して色々と試したり、自分の戦略に応じたバフや特殊攻撃の組み合わせを考えたり、強い武器を入手したりするのがこの手のゲームジャンルの醍醐味と言える。その意味で『CODE VEIN(コードヴェイン)』は、間違いなく楽しめると思う。けっして飽きさせない。次から次へと「やってみたいこと」が増えてくるのは嬉しいところだ。
6.攻略やボスの立ち回りではけっこう頭を使う
力技で脳死ゴリ押しプレーが推奨されていないところも『CODE VEIN(コードヴェイン)』のいい点だ。本作は、バフが戦闘において非常に重要な戦略要素となっている。使用制限もあるため、どのタイミングで使うかをしっかり考えていかなければならない。こうしたプレーが求められることで、戦闘を単調にせずに済んでいる。
CODE VEIN(コードヴェイン)の悪いところ
1.戦闘が大味
前回のレビューでも部分的に言及したが、アクション性に関してはソウルシリーズよりも明らかに劣っている。敵を攻撃する”手ごたえ”が希薄で、全体的に「軽い」印象を受ける。敵を切りつける楽しさや、武器を持ったキャラクターの挙動や重厚感はあまり期待しないほうがいい。慣れたらそこまで気にならなくなるが、ハッと我に返ったときは虚しくなる時がある。また、中盤以降の敵の強さ調整もけっこう大味。”白いアノールロンド”で登場する素早い騎士は、瞬間移動殺法でゴリ押し攻撃してくるため、こいつを倒すたびにダメージを負わなければならないのはけっこうストレスだった。
2.ぶっちゃけ「死にゲー」と言うほどでもない
攻略とボスが比較的簡単であることは、見方によっては良い点でもあるが、一方ではそれに対して不満を抱くプレイヤーもきっといることだろう。『CODE VEIN(コードヴェイン)』が「死にゲー」かと言われれば、「そうでもない」とわたしは答える。正直、ほとんど死ぬことはなかった。トータルで10回も死んでないと思う。攻略中に道を踏み外して落っこちたケース(場所はもちろん評判の悪い”白いアノールロンド”)を除外すると、もっと死亡回数は減るだろう。
3.装備(衣装)センスがダサイ
防具や衣装の中二病満載のデザインにはかなり好みが分かれるところだ。「あれもつけちゃえ、これもつけちゃえ」の精神で余計な装飾がゴテゴテに盛られており、デザインが全体的に”うるさい”。個人的に、センスはあまり良くないと思う。30を間近に控えたオッサンにはかなり痛々しいデザインだ。ぶっちゃけ、中学生の頃の自分がみても「ダサイ」と言いたくなるレベル。もっと落ち着いた感じにしてほしかった。『ブラッドボーン』のような知的に洗練された渋い衣装(防具)があってもよかったのではないだろうか。
4.演出が陳腐で感情移入度が低くかった
シナリオはシンプルで分かりやすく、その点に関してはとくに批判するところはないように思われた(好きか嫌いかは別として)。だが、ストーリー上でしばしば挟まれる「ドラマ」は、「陳腐」な印象をぬぐえなかった。
なぜ「陳腐」なのか? それは、キャラクターたちの背後にあるそれぞれの事情(過去)や感情の揺れ動き(心の機微)をプレイヤーに伝える演出が下手くそだったからだ。どのような点で下手くそなのかというと、「伝えたいことをすべてセリフに頼っている」という点である。これはゲームだけでなく、日本の漫画・アニメ・ドラマ・映画でよく見られる。わかりやすく言えば、「嬉しい」という感情を演出するために「嬉しいです」とセリフを吐かせるようなもの。
そうじゃないだろ、と思わずにはいられない。「嬉しい」という感情を「嬉しい」という言葉以外の方法で示すのが「演出」なのだ。こういうことをやられると、わたしは一気に興ざめするタイプなので、本作の”ドラマ”の部分では、ほとんど感情移入ができなかった。
5.「感傷の押し売り」を感じる?
本作は、ソウルシリーズの「記憶喪失」設定をオマージュしている。ソウルシリーズのキャラクターたちは、「呪い」の影響で「亡者」化し、何度も何度も死ぬことを繰り返すなかで、生前の記憶が曖昧になっている。自分が何者なのか、何のためにここにいるのか、何を目的に旅をしていたのかさえわからなくなってきて「人間らしさ」を喪っていく姿に、ある種のもの悲しさがある。正直、そこに「救い」はない。しかしだからこそ、ソウルシリーズの世界観を引き立てる。
一方で『CODE VEIN(コードヴェイン)』は、かつて人間だったキャラクターたちが「吸血鬼」と化して蘇り、生前の記憶を喪失している。構造的には、ソウルシリーズとかなり近似している。だがそこから先が少し異なっているのだ。
『CODE VEIN(コードヴェイン)』では、主人公が道中に落ちているキャラクターたちの「記憶」を拾い集めて、各キャラクターの過去(記憶)を取り戻していく。これはもしかすると、ソウルシリーズの「救い」の無さに対するアンチテーゼなのかもしれない。『CODE VEIN(コードヴェイン)』では、過去(記憶)を取り戻すことで、肉体的には人外でありながらも「人間らしさ」を留めようとする意図がうかがえる。
これはこれで、悪くはないと思う。ちゃんと考えられている。しかし、これらの演出を実際のゲームに落とし込もうとすることに、わたしはいくらか問題を感じた。主人公が拾い集めるキャラクターたちの「記憶」は、能力やスキルの解放条件とリンクしている。これが問題なのだ。システム上、能力を解放する際には、強制的にキャラクターたちの記憶(過去)を見なくてはならなくなるのだ。しかも、スキップができない。正直、かなりストレスを感じた。
このスキップができない演出は、もちろん「絶対にみてほしい」という開発の意図があるのは間違いない。それを察するからこそ、わたしは余計にストレスを感じることになった。キャラクターたちの記憶(過去)は、どれも悲しいものばかり。それを強制的に見せつけられるわけだから、「感傷の押し売り」をしている感がハンパないのだ。そこには、「どうだ、悲しいだろう、切ないだろう」という自己満足的な部分が見え隠れしている。こういうのは本当に勘弁してほしいのである。
仮に、キャラクターたちの記憶それぞれに、何かしらの「テーマ」があったなら百歩譲って許したかもしれない。たとえば、ゲーム中、主人公にとても良く接してくれていて、頼り甲斐のあるキャラクターが、実は「残酷で罪深い過去」を持っていたとしよう。この場合、過去(記憶)を取り戻すことはそのキャラクターにとって「不幸」なことだと言える。そして、自身の現在と過去とのギャップに苦しむことにもなるだろう。しかしだからこそ、そこに「ドラマ」はあるのだ。過去(記憶)が吸血鬼たちの「人間らしさ」を象徴するという主題に対して、かなり皮肉じみた”悲劇”を演出できるはずだ。「過去(記憶)を取り戻すことでかえって苦しむ者もいる」というドラマは、そのキャラクターの苦悩や葛藤と共に、物語に奥行きを与えることができる。
しかし実際は、どれもこれも「こんな悲しい別れがあったね」という程度のものでしかなかったのは残念だ。極端に言ってしまえば、「悲しい過去」なんて100でも1000でも描けてしまう。「悲しい過去」がどれだけあってもドラマの密度は変わらないのだ。「量」が重要なのではない。「質」がドラマを育てるのだ。本作は、そうしたドラマの演出がいかんせん弱かったように思う。
6.武器バランスが微妙
武器のバランスも大味気味である。「ツヴァイハンダー」の攻撃力とガード性能が武器バランスを崩壊させてしまっている。物理100%カットするガードって何だよ……。これではひたすらガードして後出しジャンケンで攻撃をするだけの「脳死プレー」がはかどってしまうではないか。この武器を使っても正直あんまり面白くないので、わたしは使っていない。ローリング回避の片手剣こそ正義である。
まあ、捉え方によっては「初心者救済武器」とも言えるだろう。「ソウルライク」なゲームに不慣れだったり、そもそもアクションゲームが苦手な人は、攻略中の”さいつよ”武器としてツヴァイハンダーをオススメする。ひたすらガードしてゴリ押せば、たいていの敵はなんとかなる。
ただし、ボス戦ではけっこう使いにくいので注意したほうがいいかもしれない。サブに片手剣を仕込んでおいたほうがいい。
7.中盤以降の敵の強さ調整が雑
中盤以降に登場する敵の強さも、なかなか雑なバランス調整である。”白いアノールロンド”以降にたびたび登場する瞬間移動を使ってくる系の敵、ちょっとウザイ。理不尽なスパアマでゴリ押してくるので、すぐにライフが削れてしまう。ツヴァイハンダーを使えばそういう悩みはほとんどないかもしれないが、錬血攻撃(魔法攻撃のようなもの)を使っても、敵のスパアマが有効なため一切の怯みが発生せず、ガッツリと”刺し違える”かたちになるのは非常に不愉快だった。一度攻撃モーションに入ると発動する敵のスパアマ、ハッキリ言って強すぎ。
8.スタブ攻撃の判定がけっこう難しい?
背後を取って致命の一撃を入れるスタブ攻撃。片手剣をメイン武器にするプレイヤーや、錬血を駆使する銃剣使いには攻略上必須のテクニックである。だがこのゲーム、スタブ判定がガバガバである。ソウルシリーズには判定が有効になるポイントが必ず存在したが、コードヴェインではなかなかうまくいかない。判定はかなりシビア。「え、これで致命判定入らないの!?」と首をかしげたくなる場面が何度もあった。スタブ攻撃は攻略上かなり重要な要素なので、この作り込みの粗さはけっこうマイナスである。
総評:システム面がユニークなので買って損はない
やや辛辣に評価した点もあったが、良い部分と悪い部分を鑑みても、総合的には「買って損はない」ゲームだと思う。ソウルシリーズよりもやり込み要素は低めで、「神ゲー」とはいかないまでも、システム面がユニークでそこそこハマれるはずだ。点数でいうと70点~75点くらい。わたしはオフラインプレイでやっていたので、マルチで遊ぶことも考えると思いのほか長く遊べるかもしれない。
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(おわり)
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