【面白い/面白くない】COD:MWの評価が真っ二つに分かれている理由【あなたはどっち?】

コールオブデューティー MW ベータ 感想 



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ここまで評価が分かれるのかというくらいに、いま「COD:MW」の評価が割れている

しかも「面白い派」「面白くない派」との間には、共有しがたい”価値観”や”認識のズレ”があるように思われる。カトリックとプロテスタント、ドラッガーとスターリンのように、お互い良き友人にはとてもなれそうにない独特の緊張感が漂っている。

一体、これはどうしたことだろうか? 何人もの有名実況者たちが「クソゲー」認定までする始末である。彼らの発言には影響力があるので、一般のプレイヤーたちにも動揺が広がっている。こうした現状の中で、もっとも懸念すべきは「中立派」の人たちだ。彼らが「う~ん、まあ面白いと言えば面白かったかなあ。クソリスでちょっと芋多めだったかもしれないけど、これはこれで悪くないんじゃない?」程度の認識でベータを遊んでいたとすると、「クソゲー!クソゲー!」という声に圧倒されるにつれ、次第に「あれ……もしかしてクソゲーだったのかな??実況者の評価も良くないようだし……」と心が揺らいでしまいかねない。

以下では、「COD:MW」を大変面白くプレイできたわたしが、どうして「面白い派」と「面白くない派」にパッカリと二分されてしまったのかを考察する。それによって、多少なりとも冷静にこの作品(といってもベータ版ではあるが)を見つめなおし、この作品なりの”楽しみ方”を理解できるようになるかもしれない。

「絶対MWを買うべきだ!」とオススメするつもりは毛頭ない。むしろ、好みがハッキリ分かれるゲームという前提で、「MWってこういうゲームとして楽しむんだよ」と伝えるのが本稿の目的である。

 

1.「悪評」は”悪目立ち”しやすい――「ダークソウル2」がクソゲーになってゆくまでの過程

 

まず、前置きがてらに読んでほしい。これは、わたしたちが物事に対する評価を冷静に行うために欠かせない大切な話である。SNSの時代だからこそ、絶対に必要な見識だ。

どんな業界にも言えることだが、レビューは「良い評価」よりも「悪い評価」の方が目立ってしまう傾向がある。「これがイイ!あれがイイ!」と褒めるのは案外難しい。なぜなら、自分たちが不自由なくプレイできている「イイ部分」は、「当たり前のこと」のように思われがちで、なかなか”表”に出にくいからだ。まるで長年付き合った恋人のようだ。「居て当たり前」の大切な人は、居なくなってからその有難みに気づかされると相場は決まっている。

また、これも不思議なもので、「良いと思った人」よりも「不満のある人」のほうがアクティブに自分の主張を発信していく傾向がある(心理学の教養がある人はよくわかる話だと思う)。だから結果的に、自然と「悪い評価」が目立ち、それがやがて「大きな声」”として”影響力をもってしまうのである。するとあたかも、その評価が「唯一の正当な評価」とすら思えてくるようになる。しばしばゲームで「クソみたいなバランス調整」が起こってしまうのは、実はそうした”大きな声”に反応しようとするから起こる悲劇なのだ。

わたしがこの「大きな声」を反映し過ぎた結果クソゲー化する恐ろしさを身をもって知ったのは、「ダークソウル2」(PS3版)だった。当時ダクソ2は、狂気じみた頻度で武器バランス調整が行われた作品だった。パッチの頻度が多いのは運営がしっかり仕事をしている何よりの証拠で、それ自体は殊勝きわまりないことなのだが、そのパッチのあてかたがとにかく酷かった。というのも、ダクソ2のパッチは、ことごとく武器を「弱体化」させるものばかりだったからだ。もうわけがわからない。パッチが入るたびに、どんどん武器に「個性」が無くなっていくのだ。「この武器の存在価値なくなるだろ!」と毎度毎度、阿鼻叫喚の嵐だった。

なぜこんなことになってしまったのか? それは、ダクソ2で対人(PvP)に明け暮れるプレイヤーたちによる「一部のお客様の声」目立ちすぎていたためである。

周回プレーや協力プレー、ロールプレイング(武器や防具を縛ってキャラクター設定を妄想したり、「ベルセルク」のガッツなどをキャラクリして楽しむ)で普通にダクソ2を楽しんでいた人たちは、不平不満もないのでとくに声を上げない。ネットにわざわざ「あれがイイ!これがイイ!」と書き込んでいる暇があったら、楽しくゲームをプレイしているからだ。

しかし、対人技術に磨きをかけるプレイヤーたちは、武器バランスに異常なまでに固執し、思いの丈を日夜ネットにぶちまける。そして運営の人間は、ダクソ2の現状評価を知るために、ユーザーからの問い合わせだけでなく、ネットの”リアルな声”を一生懸命に拾い上げる。そのとき何が起こるのか? もうおわかりだろう、実際に拾い上げた「お客様の声」は、「対人厨の不満」ばかりになってしまったのだ。その内情を知って知らずか、けっきょく運営は、その”一部の不満”のために、武器バランス調整を敢行した。すると当然ながら、「一部のお客様の声」しか反映しない「クソバランス調整」が相成ってしまうわけである。貴重な素材をぶち込んで武器を育てていたプレイヤーにはいい迷惑である。

政治学の世界では、「実際は小さい勢力なのに、発信力や発言力が大きいためにあたかも多数派のように思える人々」のことを「ノイジー・マイノリティ(Noisy minority)」という。またの名を「ラウド・マイノリティ(Loud minority)」。直訳すれば「口やかましい少数派」である。ダクソ2の対人厨が、このゲームの総プレイ人口の何パーセントにあたるのかはわからないが、「この武器でボコられた対人厨たちの声を反映したクソ調整だな」と察することは何度もあった。

かくいうわたしも、ダクソ2ではバリバリの対人厨であった。だが、もともとソウルシリーズのPvPの質など突き詰めれば「ジャンケンを読み合う」程度の心理戦でしかないので、良くも悪くも一歩離れた立場で対人を楽しんでいた。ガチ装備で戦えば戦うほど、けっきょく最後は「ジャンケン」要素で勝敗が決することはこの作品の運命なのだ。そういうガバガバで大味な部分も許容できていからわたしは楽しめたし、かえってネタ装備での対人に興じることもできた。武器バランスが対人ではメチャクチャなパラメーターなのは、ハナからわかりきっていたことである。だから、不満を漏らしたことはなかったのだ。

長くなったが、つまるところ言いたいのは、「悪い評価」には、しばしば人の意識や関心をそちらに向かわせ、バイアス(偏り)を生み出す心理的作用があるということだ。物事を今よりも冷静に見つめるためには、こうした心理的性質をよく理解することが肝要である。

 

2.MWを「面白くない」認定する人の求めていたものとは?

 

COD:MWのベータ版が2度にわたって配信され、わたしはどちらもやり込んだ。アルファを含めれば全3回。どのテストプレイも存分に楽しめたように思う。

しかしその一方で、MWを「面白くない」「微妙」と思う人の気持ちはある程度理解できる

なぜか? それは、ガン凸して敵をキルする”ゴリゴリ”のプレイスタイルがほとんど通用しないからである。

 

とくにBOシリーズからCODに慣れ親しんでいるプレイヤーからすれば、MWをプレイすると「すげーシビアな撃ち合いだ」とか「なかなか敵が突っ込んでこないから撃ち合いがじれったい」という印象を受けたに違いない。

CODは、シリーズごとに撃ち合いの「定石」が異なる。大人気を博したBOシリーズ以降、CODは全体的に「ガン凸してバッタバッタと敵をなぎ倒すツワモノプレー」最も”気持ちよくなれる”のだと暗黙のうちに含意されてきた。シビアさよりも、スポーティさにパラメータがガン振りされている印象だ。

だがその一方で、そもそもCOD:MWは、凸して敵をなぎ倒すプレイスタイルを想定して作られていない。しっかりと敵の位置を予測し、有利な撃ち合いの状況を作りながら、ADSで敵を待ち構える必要がある。非常にシビアな撃ち合いをする機会がかなり多いのだ。そして体力も100で柔らかいため、撃ち合いを読み違えると、ミスに気づいた時にはすでに溶かされている。

一人目・二人目をキルできたと思ったら、どこかの頭出しポジションから瞬殺される。「連キルつながらねえ!」と嘆いているプレイヤーも多かったのではないだろうか。そういうプレイヤーは、十中八九「走りすぎ」「動きすぎ」「身体を射線に晒しすぎ」「ADSクリアリングしなさすぎ」のどれか(あるいは複数)に当てはまる。

今作は、「走ってからの突発的な撃ち合い」の不利さが非常に顕著である。よほど下手くその相手でなければ、まず撃ち勝てない。「キャラコン」に自信のある猛者プレイヤーでさえ、強ポジでしっかり「待ち」をしている相手には勝てないだろう。なにしろ溶けるのが早い。被弾してから隠れようとしても、時すでに遅しである。足音も露骨なまでに聞こえてくるので、けっきょく「ADSで待つ」のがもっとも強い撃ち合いの条件ということになる。そして「移動するときは、強ポジから強ポジ」へ。この基本をしっかり抑えているプレイヤーが”気持ちよく”プレーできる仕様なのだ。

 

3.MWを楽しむためのプレイスタイルとは?

 

ベータテストを通してかれこれ何戦したかもわからないくらいに試合をやってきたが、自分自身、「バカ凸」してくる敵を狩りまくったのはよく覚えている。もちろん、慎重にクリアリングしてジワリジワリ詰めてくるプレイヤーと楽しい撃ち合いをすることもあったが、大半が「従来のCODっぽい動き」をするプレイヤーが多い印象を受けた。

私見では、COD:MWにネガティヴな評価をする人たちは、「ガン凸大量キルして気持ちよくなる」プレーがかなり通用しなくなっていることや、「すぐ溶かされるから連キルをつなげにくい」ことにかなりの理由を求めることができるのではないだろうか。MWは、キャラコンやエイム力以上に、「敵の位置予測をした冷静な立ち回り」が必須のプレイヤースキルとなる。これを換言すると、「敵を待ち構える能力」だ。

 

これに対し、「クソ芋ゲーじゃん!」という意見の向きもあるだろう。実際、そのような評価がよく散見される。

だが、誤解を招きかねないが、あえて言うともともとFPSは「芋」が基本中の基本テクニックである。敵に撃ち勝つには、敵より先に弾を当てなければならない。先当てするには、無駄に動き回らず、敵が来るであろう位置に銃を構えておく必要がある。『サドンアタック』『カウンターストライク』、そして『R6S』などがその典型である。むしろガン凸して敵を狩りまくるスポーティのゲームはむしろ”めずらしい”タイプのFPSであり、歴史的にみても実はCOD(BOシリーズ)がそのひとつなのだ。

しかも厳密に言えば、「芋」と「待ち(定点)」はやはり内容が違う。昔ながらの定義で言えば、いつまでも自リスにこもってチマチマと敵を狩って悦に浸る陰キャプレイが「芋」だ。しかし「待ち(定点)」は、撃ち合いを有利にする強ポジを確保し、敵のルートや射線を潰す戦略的な意義がある。つまりMWを楽しむには、まず「待ち(定点)」の重要性を再認識することが必要なのだ。だからわたしは、以前のMWベータのレビューで「硬派なCOD」と書いたのだ。わたしからすれば、そもそもBOシリーズ自体が異質なのである。むしろ旧来のモダンウォーのように、わりとシビアな撃ち合いが求めらていた時代のほうが馴染みある。だからきっとわたしは、素直に今作のMWを素直に楽しめたのだろう。

 

4.MWは「FPS」の原点的な面白さを強調している?

 

スポーティなCODが好きか嫌いかと言われたら、「大好きだ」とわたしは答える。

たとえば自分の中でBO4は総合的にクソゲーだったが、それでもeスポモードは相当に楽しませてもらった。

しかし、ジワリジワリと敵に詰め寄っていくFPSも同じくらい大好きである。というかむしろ、そういうFPSを歓迎していきたいとすら思う。

 

頭ひとつ分のシビアな”抜き合い”の面白さは、FPSゲームならではだ。

それが現代戦となってCODにカムバックしたのだから、期待せずにはいられないのである。

凸って大量キルを重ねるスポーティなCODと、今作MWのようなシビアな撃ち合いを重視するCODには、それぞれの良さと楽しみ方がある。

ようするに、ない物をねだっても仕方ないのだ

「餅は餅屋」だ。作品ごとの”楽しみ方”をきちんと見出すのもまた、大切なことなのである。

 

5.最後は自分で決める

 

わたしがこの記事を書いたのは、MWの楽しみ方を知らないままに「クソゲー」評価するのはもったいないと思ったからである。

BOシリーズのノリでMWをプレイすると、まず間違いなく面食らうことだろう。その気持ちはよくわかる。だったら、「じゃあどうすれば面白く感じるのか」をそのわずかな片鱗でもいいから知っておいたほうが、なにか意味があるように思うのだ。

だからこの記事は、そういうことを理解した上で「MWはキライ!」と言う人にはそもそも主張することが何もない。それは、自分の頭で考えてはっきり判断できているから、立派なひとつの答えなのである。

 

ぶっちゃけ言うと、わたし自身、このMWが”万人受け”するシリーズにならないことは薄々察している。実際のところ、CODファンの大半は、おそらくスポーティなシリーズの愛好者なのだろう。興味深いことに、「芋ゲー」と言われた『COD:GHOST』を好きだったプレイヤーは、今作MWを好ましく評価している傾向がある。つまりそういうことなのだ。『COD:GHOST』自体がそもそもガッツリ評価の分かれた作品だ。その点を鑑みれば、GHOSTのプレイスタイルが性に合っている人がMWの評価をするのもうなずける

 

  • 硬派なFPSを楽しめるのがMWの良いところ。
  • ガン凸して気持ちよくなれないのはMWの悪いところ。

 

結論はこうなる。この点を参考にして、「MWって実際クソゲーなん?どうなん?」と迷っている人は参考にしてほしい。有名実況者のMWへのネガティヴな評価は、ひとつの側面からみた事実であり、まごうことなく貴重な意見だと思う。だからこそ本稿では、自分なりに「もうひとつの側面」について強調しようと試みた。そうでなければ、フェアではないだろう。

大事なのは、自分の「脳みそ」を使って考え、選択することだ。わたしを含めた様々なレビューを比べながら、最終的に自分がMWを購入するべきか否かを決めて欲しいのだ。

 

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(おわり)



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石山 広尚(いしやま ひろなお) 1991年うまれ。 札幌在住のライター。 一時期は社会学の研究者を志していたが、ひょんなことから友人と同人誌をつくることになり、それがきっかけで「創作」の世界にどっぷりハマる。小説サークルを主宰し、「批評」の重要性を痛感する。 ・大学院時代の専門:思想史と社会学 ・好きな作家:H.G.ウェルズ、オー・ヘンリー、ポール・ギャリコ、スティーブン・キング ・好きな映画:ゴッドファーザー、第三の男、ターミネーター2