【ネタバレ漫画批評】『ミタマセキュ霊ティ』第2話【「恰好つけてるのにダサイ」がミソ】

ミタマ霊キュリティ  第2話 最新話 ネタバレ 感想 面白い 批評 レビュー 評価 松本人志



今日の名フレーズ

次に、引き離れてみたまえ。われ関せずの見物人となって生に臨んでみたまえ。多くのドラマは喜劇に変ずるであろう。ダンスしている人びとが我々に直ぐさま馬鹿らしく見えるためには、ダンスが行われているサロンの中で、音楽の音(ね)に我々の耳を塞ぎさえすれば十分である。(中略)滑稽というものは、だから、つまりその効果をすっかりあらわすためには、瞬間的な心臓麻痺のようなものを要するのだ。それは純粋理智に呼びかけるものである。

(『笑い』アンリ・ベルクソン/訳:林 達夫)

第2話「slam!」

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レビュー:80点

作:鳩胸つるん

所収:週刊少年ジャンプ /2019/第41号

「恰好つけてるのにダサイ」がミソ

 

  • 安定して今週号も面白かった。
  • ミタマジョーというキャラクターの”滑稽さ”がやはり本作品のポイントだろう。

 

  • 前回も論じたように、彼は自分の仕事に真面目である。けっしてふざけているわけではないし、面白いことをやろうなんて意図は、本人には微塵もない。
  • だが、実際にミタマジョーの行動は滑稽そのものである。そのふるまいはあきらかに変人だし、空回りさえしている。実力はあるかもしれないが、けっして「有能」ではない。
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  • それなのにミタマジョーは、恰好つけようとしている。でも、やることなすこと空回りしているからとってもダサイのだ。
  • たとえば今回の第2話では、幽霊が体育館に現れたとき、ミタマジョーは誰よりも先に外へ逃げ出している「おまえ何しに来たんだよ」と笑わずにはいられなくなる。

 

  • 「本人の思惑」と「結果」にギャップが生まれるとき、そこに「笑い」が生じるスキマがある。
  • ミタマジョーは一生懸命に仕事をしているが、結果はいつもグダグダ。
  • だからこそ面白い。

 

  • かつてダウンタウンの松本人志氏が長年続けていた「放送室」というラジオ(めちゃくちゃ面白いので聴いたことのない人はぜひともYouTubeで調べてほしい)で、「自分で面白いことをしているつもりはないのに(バカなことを”やらかして”)笑わせるやつが羨ましい」なんてことを言っていたが、まさにこの松本人志氏の言葉には、「本人の思惑」と「結果」のギャップに言及していると言える。
  • 松本人志氏は、落語や漫才をガッツリ勉強していることもあり、「理論的(理屈的)」に笑いをつくり上げる頭のキレた人物だ。「頭を使って」お笑いをつくりあげていく松本人志氏に対し、彼が羨ましがる山崎方正氏やジミー大西氏は、まさに「自分で面白いことをしているつもりはないのに(バカなことを”やらかして”)笑わせる」の素質を備えた”天然モノのお笑い”というわけである。

 

  • 今回の第2話でミタマジョーがみせてくれた、「恰好つけてるけどダサイ」その姿。
  • 「放送室」で語られた松本人志氏のお笑い理論の記憶を呼び覚ましてくれた。

 

  • ところで、今回のエピソードのラスト。
  • 体育館にとりついた”バスケットマンの幽霊”を退治するために協力してくれたハゼレナに対し、ミタマジョーは他意なく「きみに霊感があってよかった。ありがとう」とさわやかに言ってのけた。
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  • するとハゼレナは、思わず胸がときめいてしまう。
  • 当然といえば当然かもしれない。これまで彼女は、幽霊がみえるということで気持ちわるがられて生きてきた。「霊感があるとかキモっ!」「キャラつくってんの?」と言われることはあれど、「きみに霊感があってよかった」なんて言葉は予想のはるか外にある。
  • さぞかし強烈なパンチだったことだろう。だから、彼女がときめくのも理解できる。

 

  • だが、果たしてこの演出は、ミタマジョーとハゼレナの関係にどのような示唆を与えるのだろうか?
  • 個人的に、二人には惚れる・惚れないの話とは無縁でいてほしいところだ。
  • ハゼレナがミタマジョーを男として意識すると、この絶妙な関係性が崩れてしまうという危惧があるからだ。
  • とはいえ、ミタマジョーが幽霊にビビって泣きわめく姿をみて、「ごめん、やっぱときめいたのは気のせいだったわ」なんて展開も待っていそうではあるが。
  • とにかく次号にまた期待したいところである。

 

(第3話に続く……)



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石山 広尚(いしやま ひろなお) 1991年うまれ。 札幌在住のライター。 一時期は社会学の研究者を志していたが、ひょんなことから友人と同人誌をつくることになり、それがきっかけで「創作」の世界にどっぷりハマる。小説サークルを主宰し、「批評」の重要性を痛感する。 ・大学院時代の専門:思想史と社会学 ・好きな作家:H.G.ウェルズ、オー・ヘンリー、ポール・ギャリコ、スティーブン・キング ・好きな映画:ゴッドファーザー、第三の男、ターミネーター2