【ネタバレ漫画批評】『ミタマセキュ霊ティ』第1話【「本人は真面目なのにバカをやっている」という素晴らしい古典的なギャグ】

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今日の名フレーズ

私の唱えます『緊張緩和の法則』にあてはめますと、「ウソ」は普通ではない変なことですから『緊張』なのであります。従って「ウソ」だけでは笑いになりません。その緊張と緩和してくれるものがあってはじめて笑いに結びつくのです。いくつかの緩和方法があります。まず一つ目は、地口によって謎を解く方法。「クズの鴨を集めてまわってる人がいてる」というウソが「カモクズひろい」という地口で「ナーンダ」と緩和されるのです。二つ目は、普通のことを増幅してオーバーな話、ウソ話にしていって「大層に言いないな」と緩和する方法。何でも凍るという話がエスカレートして「おはよう」という声や、火事の炎まで凍るという種類です。いまひとつは、こちらの場合ならあり得ることだがあちらの場合はあり得ないということで緩和する「置きかえ」の方法。「岩をちぎっては投げ」と言ったのを甚兵衛はんにとがめられた時、「できたてや」と逆襲するのがこちらです。「餅」ならおこり得るが「石」にはおこりえないことを「石」におこらせた――という笑いです。

(『桂枝雀のらくご案内――枝雀と61人の仲間』桂枝雀)

第1話「その男、ミタマジョー」

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レビュー:85点

作:鳩胸つるん

所収:週刊少年ジャンプ /2019/第40号

テンポが最高のギャグ漫画

 

  • 素直に面白かった。
  • テンポもいいし、ヒロイン(?)の「ハゼレナ(羽瀬 玲奈)」と主役の「ミタマジョー」”温度差”が絶妙なバランスで配置されている。
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  • ハゼレナは、自分の後ろに幽霊の大行列ができるほどの霊感体質。黒崎一護も真っ青になるレベルである。
  • しかし彼女は、自分の体質にすっかり慣れていて、幽霊の行列に直接危害を加えられたこともないため、基本的には放置して暮らしているようだ。
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  • 一方、霊感体質の人間が幽霊に憑かれて危害を加えられないようにする”ボディガード”業を営むミタマジョーは、そんなハゼレナの壮絶な状態をみてびっくり仰天。放ってはおけず、彼女に付きまとうことに。
  • ミタマジョーは、そのあまりの幽霊の行列っぷりに、一人興奮の気味で勝手に騒ぎ立てている。それは、ミタマジョーが自分の仕事に真面目だからだ。けっしてふざけているわけではない。仕事に真面目で、ハゼレナのことが心配だから、大事のように騒いでいるのだ。しかもそれに加え、ミタマジョー自身が、幽霊から人を守る仕事をしていながら、自分自身が幽霊が超苦手という皮肉のスパイスも効かせてある。う~む、ぬかりない。
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  • そんなミタマジョーの心配をよそに、ハゼレナはいたって冷静にふるまう。むしろ、「なにやってんだコイツ」とミタマジョーを引き気味にみるくらいである。
  • この二人の温度差、じつにいいではないか。バッチリ噛み合っているのがとてもよかったと思う。

 

  • 以前にも同様のことを論じたが、ギャグの本質には、「本人はまじめにやっているのに、はた目からみるとバカをやっているように見える」という”ギャップの面白さ”がある。

偉大なバスター・キートン。ギャグの本質がすべて彼の作品に詰まっていると言っても過言ではないだろう。

我らがチャップリン。知性とユーモアに溢れた人物であった。

ローワン・アトキンソンもまた、「本人は大真面目なのにバカをやっている」ギャグの本質を鋭くとらえた人物と言える。『ミスター・ビーン』の面白さはすべてそこにある。

  • ハゼレナの冷静なふるまいと、ミタマジョーにドン引きするその姿は、ミタマジョーの面白さをうまいこと引き立てている
  • 彼女の”視点”は、ミタマジョーというキャラクターの楽しみ方を暗に読者に示してくれているのである。
  • 終始一貫してハゼレナが同じテンションのままいるのも良かった。安易なノリツッコミをせず、キャラと立ち位置を崩さずにいることは大切なことだ。
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  • 自分は昔からギャグ漫画が大好きなので、来週からこの漫画が楽しみである。
  • ミタマジョーが大真面目にアホをやり、ハゼレナがドン引きをする。
  • この関係性が保たれたままいけば、かなりクオリティの高いギャグの水準を維持できるのではないだろうか。
  • とはいえ、ギャグ漫画は連載が続いていけばやがて”銃弾”尽きるてのが世の定めである。はたして、どこまでこの面白さを持続できるだろうか。

 

(第2話に続く……)



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石山 広尚(いしやま ひろなお) 1991年うまれ。 札幌在住のライター。 一時期は社会学の研究者を志していたが、ひょんなことから友人と同人誌をつくることになり、それがきっかけで「創作」の世界にどっぷりハマる。小説サークルを主宰し、「批評」の重要性を痛感する。 ・大学院時代の専門:思想史と社会学 ・好きな作家:H.G.ウェルズ、オー・ヘンリー、ポール・ギャリコ、スティーブン・キング ・好きな映画:ゴッドファーザー、第三の男、ターミネーター2