【ネタバレ漫画批評】『サムライ8 八丸伝』第14話【八丸はヒロインだった!?】

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今日の名フレーズ

優れた脚本を書くうえで、構想のほかに大切なのは構成だ。プロデューサーや映画会社の重役が脚本を読んだとき、アイデアやセリフがいいと褒めてくれたのに、結局却下されることはよくある。なぜって、構成がめちゃくちゃだからだ。構成ができていない脚本は、映画化したときの組み立てが想像できず、結局のところ映画の中身がつかめない。

(『SAVE THE CATの法則』ブレイク・スナイダー/訳:菊池淳子)

第14話「父の秘密」

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レビュー:50

原作:岸本斉史

作画:大久保彰

所収:週刊少年ジャンプ/2019/38号

『サムライ8 八丸伝』まとめ(第1話~)

なんかいいよね

第14話のポイント

 

  • 今回は、ようやく主人公・八丸がなぜ「八角」と呼ばれていたのかがわかる。
  • 正直、無駄に引っ張りすぎたのは間違いないが、これでストレスのひとつは軽減されるはずだ。
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  • どうやら「アタ」と「八丸の父(博士)」は、人工的に「箱(パンドラの箱&マンダラの箱)」を開けるためのカギを生み出そうと計画していたらしい。
  • 「箱(パンドラの箱&マンダラの箱)」とは、この物語のキーワードであり、”ゴール”でもある。
  • というのは、この「箱」には「星々を救う方法」が封印されているからだ(第1話参照)。そしてそれを開けるには、「7つの鍵」が必要なのだ。
  • 以下に、この物語の背景を整理してみよう。「正直、このマンガなにがしたいのかよくわかんない」という読者もきっと多いはずである。
  • なんとなく全容が見えてきてはいるので、この物語が立脚している種々の「前提」を把握してみようと思う。

 

前提①

なんかよくわからんが、銀河の平和はいま脅かされている(なぜか敵の正体は一切不明

前提②

銀河の平和を守るには「箱」が必要。その「箱」には、「銀河を救う方法」が記されているという

前提③

「箱」には、「パンドラの箱」「マンダラの箱」がある。その違いはよくわからない。だが推察するに、おそらく銀河を救うために必要なのは「パンドラの箱」なのかもしれない。

前提④

「箱」を開封するには、「7つの鍵」が必要。本来「鍵」は”天然モノ”であり、星々を探してまわらなければ手にはいらない

前提⑤

一方で「アタ」の勢力は、「7つの鍵」を人工的に生み出す計画を進行させている

前提⑥

すでに「7つの鍵」の代替物である「7つ子」が誕生しており、彼らは「一角、二角、……七角」と呼ばれている

前提⑦

しかしちょっとした手違いで、「8人目の子」が生まれてしまった。それが主人公の「八丸」こと「八角」だった

前提⑧

現在「アタ」の勢力は、「マンダラの箱」をすでに手に入れている。そして「パンドラの箱」を探し回っている

前提⑨

「アタ」の勢力は、「箱」を2つとも欲している。その目的は「宇宙をあるべき姿に戻す」ことらしい

前提⑩

「アタ」の勢力は、ダルマ師匠たちのように「銀河の平和を守ること」に興味がない。 つまり「アタ」が明らかに敵対勢力であることを意味する

前提⑪

「アタ」の勢力は、八丸を疎ましく思っている。なぜなら、八丸(八角)がいることで、「7つ子」のパワーが分散してしまい、「箱」を開けられずにいるからである

――というのが、現状把握できる物語の背景だ。

  • とりあえず目下のところ、ダルマ師匠としてはアタと”競合”状態にあることが理解できる。
  • では、なにをめぐる”競合”なのかというと、「パンドラの箱」をめぐる”競合”である。
  • アタ勢力は、”私的な目的”のために「パンドラの箱」を手に入れようとしている。一方でダルマ師匠は、”銀河の平和を守る”ためにその箱を手に入れようとしている。
  • ただしダルマ師匠は、現在不利なコンディションにある。なぜならすでにアタ勢力は、人工的に「箱」を開ける鍵を所有しているのに対して、ダルマ師匠は、「箱」を開けるための”天然モノ”の鍵も一緒に探さなくてはならないからだ。

 

  • とはいえ、ダルマ師匠側もアタの動きを抑止する”虎の子”がある。
  • それが「八丸」である。
  • 「八丸」が生存しているかぎり、「7つ子」たちの本来のパワーは発揮できないため、アタたちも「マンダラの箱」を開けられない
  • だからダルマ師匠的には、「八丸」をなんとしてでもアタの魔の手から守りつつ、「パンドラの箱」と「鍵」探しを並行すれば、ワンチャン勝てる

 

  • ……さて、このシチュエーションをみて、なにか思うことはないだろうか?
  • わたしは率直にこう思った。
  • 「八丸」っていま、「護られる側」の超絶ヒロインポジションにいるのでは、と。そしてヒーローは、八丸を護るダルマ師匠ということになる。
  • ウーン、これってどうなのだろうか?

 

  • 今回、八丸を愛した父親が死んでしまうというエピソードが展開された。いささかお涙頂戴な感が否めないが、それ自体は、やはり悲しい出来事である。
  • もともと八丸の父親は、殺すべきだった八丸(八角)を殺せずに、良心の呵責から乳飲み子の八丸を連れ出して辺境の惑星へと逃げ出した
  • アタに一矢報いようと、父親はドラゴンボールの人造人間16号よろしくの捨て身攻撃をしかけるが、あえなくその反動で力尽きてしまう。
サムライ8 八丸伝 最新話 ネタバレ 感想 第14話 批評 レビュー 評価 面白い 面白くない 父 死 護る側の人間
  • この父親の死をもって、ようやく八丸の”旅”が始まるという筋立てになっている。
  • 最期に父親は、「お前は……もう護る側の人間だ」と言い遺す。
  • それは、八丸の成長を認めたなによりの証だったのだろう。

 

  • ……しかし、水を差すようで申し訳ないのだが、状況的には明らかに、八丸は依然変わりなく「護られる側の人間」だと言わざるを得ないだろう。
  • なにしろ、八丸がアタ勢力の手に落ちたり、ひょんなことで死亡するようなことがあると、この銀河の平和はことごとくマズイ状況になってしまうからだ。
  • それは、上述した「11個の前提」を統合することで必然的に導き出される結論である。これは捻じ曲げようのない事実である。

 

  • ぶっちゃけて言うと、八丸のポジションは、本来アンが務めるべきではなかったのではないだろうか……?
  • これでは正ヒロインであるはずのアンが完全に空気ではないか。
  • かなり気の毒な感じになってしまっている。
サムライ8 八丸伝 最新話 ネタバレ 感想 第14話 批評 レビュー 評価 面白い 面白くない 八丸 アン
  • たしかに、八丸が「侍」でありアンが「姫」である以上、両者は「護り・護られる」の関係が成立している。
  • つまり前者ヒーロー・後者ヒロインというわけである。
  • しかしそれは、単なる設定の上でそうであるだけであって、物語そのもの本筋とはまったくゆかりがない
  • 「設定上の話」「物語が追わなけれならない話」を混同するべきではない。両者はまったく別モノなのだから。

 

  • 再度確認すると、『サムライ8 八丸伝』の本筋はあくまでも「パンドラの箱と鍵をめぐる敵対勢力との競争」である。
  • これに関していえば、いまのところ、八丸とアンの関係はどうでもいいということになってしまう。
  • それよりもむしろ、銀河の平和守る使命をさずかったダルマ師匠と、銀河の平和の行く末を握るキーマンたる八丸との関係性のほうがきわめて重要になっている。
  • ダルマ師匠と八丸もまた、「護り・護られる」という関係性が成り立っているのはなんとも皮肉である。

 

  • ダルマ師匠がヒーロー。八丸がヒロイン。アンは空気。
  • これまでの設定を拾い集めると、なんとも奇妙な構図が浮かび上がってくる。
  • つい首をかしげてしまう。

 

(第15話に続く……)



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石山 広尚(いしやま ひろなお) 1991年うまれ。 札幌在住のライター。 一時期は社会学の研究者を志していたが、ひょんなことから友人と同人誌をつくることになり、それがきっかけで「創作」の世界にどっぷりハマる。小説サークルを主宰し、「批評」の重要性を痛感する。 ・大学院時代の専門:思想史と社会学 ・好きな作家:H.G.ウェルズ、オー・ヘンリー、ポール・ギャリコ、スティーブン・キング ・好きな映画:ゴッドファーザー、第三の男、ターミネーター2