【ネタバレ漫画批評】『最後の西遊記』第18話【「盆の黒鳥居」でもう少しエピソードを膨らませられたのでは?】

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今日の名フレーズ

「戦争は人間の本能ではなく習慣にすぎないというわたしの持論が正しければ、地球からの文化的影響を最小限に抑えてゼロから独自に築かれた社会は、違ったふうに発展するかもしれない。地球文明特有のものの考えかたから解放された、まったく新しい基盤から出発することができれば、われわれの到達した袋小路――戦争だけがどんどん拡大し、ついには廃墟と破壊しか残らなくなる――とは違う地点にたどり着けるかもしれない。」

(『ミスター・スペースシップ』フィリップ・K・ディック/訳:大森望)

第18話「盆の黒鳥居」

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レビュー:65

漫画:野々上 大二郎(ののうえ だいじろう)

所収:週刊少年ジャンプ/2019/第32

【『最後の西遊記』批評記事まとめ】

第18話のポイント

 

  • 強敵・虎狼狸(ころうり)を倒したと思ったら、次なる任務が龍之介たちに課される。
  • それは、「盆の黒鳥居」と呼ばれる怪異を治めるミッションだった。
  • 「盆の黒鳥居」とはいわば、人々の漠然とした「死後の世界」への認識の集合体。「お盆」は死者があの世から帰ってくる時期というわけで、この「盆の黒鳥居」が突如出現してしまうというわけだ。
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  • なかなか、興味深い話である。
  • 『ぬ~べ~』とかにも出てきそうなユニークな発想だ。

 

  • どうやら、「盆の黒鳥居」じたいには、そこまで人々に危害を及ぼす力はないようだ。
  • もともとは、生きている人間たちの曖昧模糊とした「死後の世界」のイメージが蓄積されて発現するため、存在そのものが”おぼろ”なのである。
  • しかし、エステルいわく、ときとして「盆の黒鳥居」に、人々は亡き者の幻影をみることもあるという。

 

  • ここで物語が動き出す。
  • コハルがふと、自分の「母に会ってみたい」という”願望”を抱いたとたん、龍之介たちの目の前に、巨大な「盆の黒鳥居」が現出する。
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  • その鳥居にぼんやりとあらわれた黒い影は、女性の声で「コハルちゃん」と名を呼ぶ。まさにコハルの願った通り、「盆の黒鳥居」が彼女の「母に会いたい」という願望を反映したのだ。ということは必然的に、鳥居からみえる黒い影は、やはり「コハルの母」と結論付けることができる。
  • ところが、である。なんとその声の主に、龍之介までもが反応を示してしまった。
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  • つまりコハルの母龍之介の母は、イコールで結ぶことができるという理屈になる。
  • さて、今後はどのような展開になっていくのだろうか。
  • ポイントは、コハルの母と龍之介の母にまつわるエピソードを通じて、物語的にどのような意味があるのかということである。

 

  • ただ闇雲に「じつは〇〇は△△だったんだよ!」といった安易なサプライズ要素は、かえってマイナスになってしまう恐れもある。
  • とはいえ、この作品がそこまで安直なやり方をとらないとは思う。やはりなんらかの意図があるのではないだろうか。

 

  • さて個人的には、この「盆の黒鳥居」のエピソードは、もう少し掘り下げて描くべきだったと思う。
  • というのも、「盆の黒鳥居」の設定には「イメージの拡がり」があるからだ。
  • 「イメージの拡がり」とは、いろいろと肉付けをして「物語を膨らませやすい」ということである。

 

  • 漠然とした死後の世界の想像、ときおり鳥居からみえる亡き者の姿……。龍之介たちと一般人をからめてひとつのエピソードをつくれそうだとは思うのだが。
  • せっかく「盆の黒鳥居」はユニークな題材なのに、すこしもったいないような気がする。盆の黒鳥居のエピソードを掘り下げたあと、次につながるオチとして「コハルの母」のくだりも描けただろうに。

 

  • ともあれ、「コハルの母=龍之介の母」という重要な定式は、いったいどのような意味をもつのか。
  • 以下次号をまつ。

 

(第19話に続く……)



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石山 広尚(いしやま ひろなお) 1991年うまれ。 札幌在住のライター。 一時期は社会学の研究者を志していたが、ひょんなことから友人と同人誌をつくることになり、それがきっかけで「創作」の世界にどっぷりハマる。小説サークルを主宰し、「批評」の重要性を痛感する。 ・大学院時代の専門:思想史と社会学 ・好きな作家:H.G.ウェルズ、オー・ヘンリー、ポール・ギャリコ、スティーブン・キング ・好きな映画:ゴッドファーザー、第三の男、ターミネーター2