【ネタバレ漫画批評】『トーキョー忍スクワッド』第10話【それってやっぱりおかしいよ!】

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今日の名フレーズ

自分はどんなに賢いと思っていても、人間は夢中になりすぎるとアホなことをするときがある。クリエイティブな俺の行動だからみんなわかってくれる、なんて思っているかもしれないが――まあ、わかってはくれない。

(『SAVE THE CATの法則』ブレイク・スナイダー/訳:菊池淳子)

第10話「唯一の理解者」

トーキョー忍スクワット 最新話 ネタバレ 感想 第10話 批評 レビュー 評価 面白い 面白くない ヒアルロン酸

レビュー:40

原作:田中 勇輝

漫画:松浦 健人

所収:週刊少年ジャンプ/2019/36・37号(合併号)

『トーキョー忍スクワッド』ネタバレ漫画批評まとめ

第10話のポイント

 

  • 前回、ヒアルロン酸ババアは、マキ・ミズノに「ウチの事務所に入らなければ社長ともども殺す」と脅迫した。
  • 今回のエピソードでは、社長が苦渋の選択のすえ、ヒアルロン酸ババアに従うようマキ・ミズノに進言する。
  • 「マキ……ワシを信じるか……?」という社長の言葉は、愛娘のように可愛がっていたマキ・ミズノに対する悲痛な思いが込められているのだろう。
  • そしてマキ・ミズノ自身も、その社長を信じることにしたわけだ。ここに、ふたりの「絆」が描かれていることがわかる。
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  • そう、けっきょく社長は、ヒアルロン酸ババアの言う通り、マキ・ミズノを引き渡すことに決めたのだ。
  • まあ、状況的にはやはりそうせざるをえないだろう。
  • 社長の身がどこまで無事に済まされるかは定かではないが、少なくとも、マキ・ミズノがヒアルロン酸ババアの言うことに従うことは、ふたりの身の安全を考えれば、もっとも最適な選択であることは自明である。
  • ヒアルロン酸ババアも、このガバガバな脅迫作戦がうまくいってしたり顔というわけだ。

 

  • ところが、である。
  • なんとマキ・ミズノは、そのヒアルロン酸ババアにツバを吐きかけ「汚い手で私に触るなクソババア!」激しいディス(Dis)を叩きつけてしまうのだった。
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  • ここで社長の心を代弁するとすれば、「そんな馬鹿な!?」である。
  • マキ・ミズノの挑発は、社長の思いを踏みにじるとともに、ふたりに最悪の結末をもたらす軽率な行為でしかない。

 

  • むろん、ヒアルロン酸ババアに使いまわした注射針で「ヒアルロン酸」を注入されそうになって「汚い手で私に触るなクソババア!」と言いたくなるのもわかる。
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  • たしかにそれは、いろんな意味で恐怖である。
  • だが、展開の流れを考えれば、マキ・ミズノにそのセリフを言わせてはいけないだろう。だって、その背後には「マキ……ワシを信じるか……?」という社長とのやりとりがあるのだから。マキ・ミズノがヒアルロン酸ババアを挑発させてしまっては、社長の思いはすべて水の泡である。
  • けっきょく、ヒアルロン酸ババアは激怒し、社長を南雲に処刑させようとしてしまう。
  • それに対しマキ・ミズノは、頼むから殺さないでくれと懇願するが……
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  • いや、そもそもこうなったのはおまえのせいだぞ!

 

  • ……マキ・ミズノに「ヒアルロン酸」を注入しようとする演出は、ヒアルロン酸ババアの”悪さ”を引き立たせるためのものだったのだろう。
  • だが、それは余計な演出だったのではいだろうか。そんなことをされたら、そりゃあたしかに「汚い手で私に触るなクソババア!」と言いたくもなる。だが、それを言わせてしまうと、社長の悲痛な思いと”はからい”が無駄になってしまう。
  • だから、そもそも「ヒアルロン酸」注入のくだりは必要なかったのだ。

 

  • しかし読者のなかには、「そのヒアルロン酸のくだりがなければ、社長が南雲に凍死させられそうになって鳴海仁がいいタイミングで殴り込みに来るシーンが描けないのでは?」と疑問を抱く向きもあるだろう。
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  • だがそんなことをせずとも、「社長がピンチ→鳴海仁がいいタイミングで殴り込む」シーンは、ふつうに描けたはずである。

 

  • たとえば、社長の苦渋の選択のすえ、マキ・ミズノがヒアルロン酸ババアに従ったあとに、ヒアルロン酸ババアが手のひらを返して「じゃあ、社長を処分してしまいましょう」なんて展開がいちばんわかりやすい。
  • 社長とマキ・ミズノからすれば、「話が違うじゃないか」となるわけだが、それでいいのである。
  • なにしろ、ヒアルロン酸ババアと南雲は悪党だ。悪党は約束なんて守らない。彼らは、平気で約束を破って人の思いを踏みにじるから悪党なのだ。
  • だから、ヒアルロン酸ババアが理不尽に社長を殺そうとすることで、彼女のクズっぷりを十分に演出できるわけだし、その自然な流れにのって、けっきょく「南雲が社長を凍死させようとする→鳴海仁の殴り込み」場面につなぐことだってできるのだ。

 

  • 今回のエピソードでは、「社長がピンチ→南雲が良いタイミングで殴りこむ」という展開へ持っていくやり方が、ちょっとマズかったと評せざるを得ない。
  • またしても、「真剣な場面なのに陳腐な展開が繰り広げられてしまっている」のだ。

 

第11話に続く……)



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石山 広尚(いしやま ひろなお) 1991年うまれ。 札幌在住のライター。 一時期は社会学の研究者を志していたが、ひょんなことから友人と同人誌をつくることになり、それがきっかけで「創作」の世界にどっぷりハマる。小説サークルを主宰し、「批評」の重要性を痛感する。 ・大学院時代の専門:思想史と社会学 ・好きな作家:H.G.ウェルズ、オー・ヘンリー、ポール・ギャリコ、スティーブン・キング ・好きな映画:ゴッドファーザー、第三の男、ターミネーター2