「過去が現代に影響を与える」逆説的な力!古典の魅力について!



〇加藤晴之編集長の哲学「世に残り続けるコンテンツを目指せ!」

 

https://note.mu/jhk/n/n13105d84a7ef

『海賊とよばれた男』

本屋大賞に輝き、400万部超の売り上げを記録した百田尚樹氏の力作です。

 

そして

加藤晴之さんは

この大ヒットをプロデュースした講談社の敏腕編集者です。

 

彼はあるとき言いました。

「書籍はロングセラーになり、残っていかないと意味がない」

 

加藤さんは、ふだんから「長く読まれる」本づくりを意識しているそうです。

 

わたしはこの考え方にとても共感をおぼえます。

それはわたしが

学術書・小説・映画などのジャンル垣根を問わず、数々の古典】を愛好しているからです。

 

古典とはまさに、加藤編集長で言うところの大・大・大ロングセラー作品にほかなりません。

 

 

〇ほとんどの作品は「時代の陳腐化」に耐えられない

 

流行……

 

それは、時代を彩る文化シーンであり、人々の記憶に残り続ける【過去】

のことです。

それはしばしば爆発的な売り上げも記録するので、わたしたちの印象につよく残りもするでしょう。

 

それは世に送り出される数々の「作品」もまた同じ。

学術書、芸術、映画、音楽、ドラマ、小説、マンガ、アニメ。

どのジャンルにおいても、きっとみなさんのなかに【時代を象徴する作品】があることでしょう。

 

しかし、です。

 

多くのこうした流行作品は

【時代の陳腐化】に耐えることができずに

その時代とともに「過去」のものとなってしまいます。

 

ようするに、一過性のブームで終わってしまった、ということです。

時代をこえて「長く愛される」ことができずに、記憶の墓場で眠ってしまうわけです。

 

往々にして、それが流行の宿命だと言えるのでしょう。

わたしはべつに

「流行なんてしょせんはそんなものさ!くだらん!」

と言いたいわけではありません。

 

流行には、流行の良さがあります。

それはきっと、【お祭りのような楽しさ】に求められるのでしょう。

流行にのっかっていれば、お祭り騒ぎの当事者になることができます。

 

それを追求していくことは、けっしておかしなことではありません。

楽しいことをみんなと共有したいと思うのは、社会的動物として自然な欲求です。

だからこそ、ふと過去をふりかえったとき、「あの頃も楽しかったね」と懐かしむことができるのです。

 

 

〇流行をこえて長く愛されるもの

 

「流行」の墓場が日々刻々と築かれていくその一方で

わたしたちは

【時代の陳腐化】という試練をくぐりぬけ

何世代にもわたって語り継がれる作品たち

を知っています。

 

あるいは運が良ければ

「今後も語り継がれていくのだろうな」という名作が誕生する瞬間を目撃しているかもしれません。

 

どちらにせよ

この世のなかには

たんなる流行で終わらず、いつどの時代にあっても人々を惹きつけてやまない作品が存在しています。

 

 

「流行」ではなく「名作」を世に送り出す。

 

おそらく創作者は

死ぬまでこのテーマと戦い続けなければならないでしょう。

 

程度の差こそあれ

「いつか忘れ去られてしまうような作品でもいいんだ」

とは思うはずがありません。

 

時代の陳腐化に耐えた名作たちは

さらに時代を重ね

過去と現代との距離が離れていくにつれて

ついには「古典」へと昇華します。

 

 

わたしたちがよく知っている古典作品は

まさにその結晶物です。

 

 

古典のスゴイところはなんでしょう?

それはズバリ

【過去が未来に影響を及ぼすという逆説的な力】

にあるのではないでしょうか。

 

 

よく、現代の有名な作家たちが

「わたしはこの古典作品に影響を受けている」

「この作品は、あの古典作品のオマージュだ」

と明言しているのを耳にしますよね。

 

まさに

「過去」が創作者たちの「いま」をつくりあげているわけです。

 

古典というものを切り口に考えてみると

温故知新という四字熟語の重さがわかります。

 

故きを温ねて新しきを知る。

 

古典はそのジャンルの基本であり、ルーツなのです。

 

 

恋愛小説の古典として数えられる、イギリス女流作家ジェイン・オースティンの作品。

かつて夏目漱石サマセット・モームは、オースティンを絶賛していました。

とくにモームは、オースティンの作品には「ページを繰る手が止まらなくなる」魅力があると評します。

インテリ嫌いだったオースティンは、ただひたすらに、読者を楽しませる小説つくりを目指したのでしょう。

エンターテイメントを極めた一流の作家、オースティン。『ノーサンガー・アビー』は彼女の魅力がぎっしり詰まった名作中の名作です。

お手にとったことのない方は、ぜひ!



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石山 広尚(いしやま ひろなお) 1991年うまれ。 札幌在住のライター。 一時期は社会学の研究者を志していたが、ひょんなことから友人と同人誌をつくることになり、それがきっかけで「創作」の世界にどっぷりハマる。小説サークルを主宰し、「批評」の重要性を痛感する。 ・大学院時代の専門:思想史と社会学 ・好きな作家:H.G.ウェルズ、オー・ヘンリー、ポール・ギャリコ、スティーブン・キング ・好きな映画:ゴッドファーザー、第三の男、ターミネーター2